今、アメリカで起こっていることを簡単に解説します。

ご無沙汰しております。皆様いかがお過ごしでしょうか。

Twitter(もうTwitterじゃないけど)に少し書いたアメリカの子どもたちに起きているトランスジェンダー問題について、まとめてくれというご意見を頂戴しましたので若干の加筆をしつつツイートを完全にコピって楽して書いていきたいと思います。

まずはじめにこれだけは強調しておきます。

>私はこの話をセンセーショナルな写真と共に悲劇ポルノのように扱うことに非常に抵抗を感じています。そんなので煽り散らかしたところで誰も「身近な危機だ」とは思わない(

これには理由があります。

Twitterをアクティブに使われている皆さんは一度位目にしたことがあるでしょう、フォロワーが1万人以上いる人が上げているサンフランシスコの万引き動画。それにはたいてい「950ドル未満は捕まらない」「万引き天国」のようなコメントがついています。
あの手の動画を観た人が、似たような動画が貼られているコメント欄で「サンフランシスコでは〜」「カリフォルニアでは〜」講釈垂れたりしています。
アメリカに縁もゆかりもない、英語もわからないのに動画を載せてサンフランシスコの現状をエンタメ化している人たち、そのエンタメに乗っかってまるで自分の目で観てきたかのようなことを言う人達。

皆さん、そんな動画を見て、サンフランシスコの現状に興味を持ちますか?
サンフランシスコという都市が抱える問題を理解しますか?
なぜ、そんな事が起きているか、その先を知ろうと思いますか?

その手の動画はデマとは言い切れません。しかし、その先を知ろうと思う人は減り、また、深く理解することのないままセンセーショナルな画像だけがどんどん拡散されて行き、それはただのTwitterを賑わすエンターテイメントの一つになってしまい誰も身近な危機だとは思わないのです。
実際、日本に住む皆さんからすると身近な危機でもなんでもないでしょう。しかしわたしたち住民にとって今そこで起きている重大な問題です。どんなにその実情を知ってほしいとはいえエンタメ化できるような話題ではないのです。


わたしは、アメリカの子どもたちに起きている問題が、Twitter上で散見されるサンフランシスコの薬物や万引き動画のようなインプレッション稼ぎのエンタメ扱いを受けるのは絶対に許せないですし、この先も許すことはないと思います。


次に、厨二病という言葉です。
あまりネット用語に明るくない、この言葉を初めて聞いた皆さんには揶揄したり、馬鹿にしているように聞こえるかもしれませんが、決してそういう意図ではありません。もっとも、2000年代前半からインターネットに慣れ親しんだ世代の皆さんには、言わんとすることを非常に理解しやすかったようです。そうです。ちょうど思春期のお子さんを持つ親御さんの世代です。Wikipediaより流石、ピクシブ百科事典のほうが深層を記載しているので貼っておきます。


世の中学生の大半は、上記の症例のどれかに罹患している。
発達心理学によれば、中学生の時期というのは「自分は誰であるか?」という疑問を生じる時期である。身体、精神面ともに成長が著しく、小学生のころまで抱いていた自分自身というものが大きく変容していくのを実感して不安に駆られる時期が思春期である。
この言いようのない不安を解消するため、思春期の少年少女は自分の定義づけに躍起になる。だが人生経験の浅い彼ら彼女らが哲学的思索を経て自己存在を確立することは難しく、その手段は自然と、趣味趣向やキャラ付けと言った安易なものとなりやすい。

中二病 (ちゅうにびょう)とは【ピクシブ百科事典】


症状を問わず、厨二病に罹患した思い出がある人はそれはそれは沢山おられるはずです。今これを読みながら変な声を上げている皆さんの姿が私には見えます。黒歴史黒歴史。

Z世代(1990年代中盤から2010年代序盤までに生まれた世代)とその次の α世代と言われる世代、いわゆるデジタルネイティブ世代がこの厨二病に罹患「自分とは誰か」という問いを自分に投げかけるとき取り急ぎ聞いてみるのは人ではなくインターネットです。SNSにはありとあらゆる「憧れの対象」がいて、皆が皆、アングラさ全開の、私が例に挙げた謎キャラ「影羅」のようなものに憧れを抱くわけではありません。

「もしかして自分も生まれながらに与えられた性と違うかもしれない」この疑問自体は厨二病ではなく、例えば二次成長に対する違和感嫌悪感であったり、性の揺らぎだったりという発達過程にありがちなものですが、その延長線上で、ある日突然(女児の場合)一人称が「俺」急に男らしい言動をし始めるなどは別に今日にはじまった事象ではなく昔から非常によくある厨二病の症状です。しかし、昔と大きく違うのはネットを見ると、そこには沢山の「生まれながらに与えられた性と違う性で、自由を謳歌するファッショナブルな人たち」がいることです。

ファッショナブルな彼ら/彼女らは今、憧れの対象のひとつであるのです。


中学生の頃、妹は二重人格だった。
なんでも、火を見ると「影羅(エイラ)」という魔族の人格が現れるそうで、
真っ暗な部屋の中で唐突にマッチを擦っては、
「……ヘヘ、久しぶりに外に出られた。この小娘は意思が強すぎて困るぜ(笑」
などと乱暴な口調で叫んだりしていた。

ある日、夕食の時に「影羅」が出たことがある。
突然おかずの春巻きを手掴みでムシャムシャと食べ始めて、「久々の飯だぜ(笑」と言った。
食べ物関係のジョークを一切許さない母が、
影羅の頭にゲンコツ振り落とすと影羅は涙目になっておとなしくなった。
それ以来、食事時に影羅が出たことは無い。

そして別人格とやらは、妹が高校に入った辺りでパタリと出なくなった。
最近になって、大学生になった妹にその頃のことを尋ねたら、
クッションに顔を埋めて、手足をバタバタさせてのた打ち回っていた。

これは2ちゃんねるで有名なコピペです。これをベースに延々と解説していっているのが上に貼ったツイートの中身です。以下コピペで楽をします。
*誤字訂正加筆アリ


‐パターンA

>食べ物関係のジョークを一切許さない母が、影羅の頭にゲンコツ振り落とすと影羅は涙目になっておとなしくなった。

ゲンコツを落とす代わりに影羅の言うことを真剣に聞き、そんなあなたは素晴らしいと褒め、病院に連れていく、またこれを知った誰かが親には内緒で病院に行くように促すわけです。 すると、

>最近になって、大学生になった妹にその頃のことを尋ねたら、クッションに顔を埋めて、手足をバタバタさせてのた打ち回っていた。

こんなハッピーエンドは決して訪れないのです。

影羅は多重人格ですが、これがある日突然丸刈りにして帰ってきて「俺はきょうからジョーだ」というタイプの場合()病院でホルモン治療を受け乳房摘出を受け、後戻りの出来ない体になっているのです。 もちろん本当に多重人格/性同一性障害(性別違和)の可能性だってあります。だとしたら、大学生になってその時のことを訪ねるまでもなく、高校に入ったあたりで影羅やジョーがパタリと出なくなることもありませんし、クッションに顔を手足をバタバタさせて埋め我に返る日は来ないのです。
すなわち、もし本当に何らかの病気であれば精神的成長を見守ってから見極め、医療支援を受けても遅くは無いのに、それが厨二病なのか本当に医療支援が必要なのかまだ判断が出来ない状況で、どういうわけか大人が前のめりになって後戻りのできない処置を施してしまうのです。そして傷を負うのはただの厨二病患者だったのに、本物の病気にされてしまった子供たちです。

厨二病患者ですから医療を受けること自体に憧れを抱いている場合もあります。親(もしくはまわりにいる大人)は影羅/ジョーの存在を素晴らしい、誇るべきものだと何故か思い込んでいますから決して否定しません。仮に当の本人が途中で「でも……」と思ったところで誰も止めてくれません。子供が大人に対し何か疑問に思って反論反対する事の難しさは言うまでもない。まるで何かに洗脳されたような大人たちが事をどんどん進めていくのです。

何故こんな事が起きているのかはわかりません。でも元の須賀川さんのツイートにそのヒントが隠されていると思います。

SNSの影響で性別変更はなんとなくオシャレでかっこいいと思う子供たちと、そのオシャレでかっこいいことの最先端に子が事で自己承認欲を満たす親という構図でしょうか。 闇が深い。

パターンB

家族は影羅/ジョーの存在を厨二病だと認識し、生暖かく見守っていた。

>食べ物関係のジョークを一切許さない母が、影羅の頭にゲンコツ振り落とすと影羅は涙目になっておとなしくなった。

学校に行き、影羅/ジョーは「自分は 多重人格/性別違和 で、親が微妙に理解ない」とスクールカウンセラーに報告。スクールカウンセラーはすぐ関係機関に連絡。「子供の人権を守る」という正義の元、親の介入無しで医療支援を受けさせることとなる。
さらに親にはなんと児相から警告が 「子供に適切な医療支援を受けさせなかったので虐待になります」

親や家族は厨二病だと認識し生暖かく見守っているにも関わらず、学校や関係機関が「子供の人権」と言い出し、厨二病の影羅/ジョーを親の承諾なしに医療を受けさせる。

学校及び医療機関は親に「このままだと影羅/ジョーは自殺します」と告げる。
厨二病には自殺願望も含まれ、親はありがちな「死ぬ死ぬ詐欺」だと認識しているが、実際、医療機関に命を落とす可能性を言われると、当然不安になり 「もしかしてこれは厨二病じゃないのでは?」とホルモン治療や身体にメスを入れることに同意してしまう。同意しない場合は「必要な医療支援を受けさせない虐待」と…… 影羅/ジョーは成長とともに無事、厨二病からは寛解するが時すでに遅し。
そして「死ぬ死ぬ詐欺」だったはずの、希死念慮は消えることがない。ホルモン治療は危険だということを誰も教えない。

上記はTwitter上でトランスジェンダリズムの話を追っていると頻繁に見かけるパターンでしょう。では、これが大問題になっているかというとなってないのです。こんなこと知らない人のほうが多いのです。たとえば青い州赤い州問わず一日中この話題でもちきり、米国株の市況番組を放送しているCNBCですら日々取り上げていた、中絶の権利が連邦最高裁で覆された時()のような大論争には全くなっておらず、nは子供の数と比較すると決して多くない。 実はこれこそが大問題。みんなの知らない所でどんどん厨二病がリアル病人にされている、気づいたら自分の身近なところまで来ていた。それでようやくネットで調べたら、あちこちでそんな話が出てきてた。対象は思春期だけではなく若年層にも及びはじめ、後悔してる当事者の声も増えた←イマココ

だから段々この話題、世間の声が大きくなってきてるんだと思います。
そしてパターンB、あまりに突飛で馬鹿げてるとお思いでしょう。これを書いているわたしも馬鹿げてると思いますし、信じられないのです。ところが当地カリフォルニアでは州法で権利制定されており(SB107) これに対して親の団体が訴訟を起こしているのです。


以上コピペ終わり。

もっとも、この解説はあくまでもその一例で他にも要素要因はあると思います。
例えば、偏った性教育の問題、クリティカルレースセオリーと呼ばれる人権教育との関連。この子供とトランスジェンダーの問題は非常に根深く、何が原因かということを簡単に結論づけることはできません。
わたしは、日頃この手の議論を全くしない、TLにこの話題が流れてくることもない、ごく普通のTwitterユーザーにできるだけわかりやすく、様々な主義主張を盛り込むことなくフラットに知ってもらうべく、もっとも身近などこにでも存在する可能性のある話を選びこの解説をしました

最後に、お読みになった方で実際に思春期における様々な精神疾患や性同一性障害を抱えるお子様がおられる方、ご家族の方、大変不快な思いをなさったことと思います。申し訳ございませんでした。